一般社団法人人的資本経営推進協会(所在地:東京都港区、代表理事:野澤 比日樹、佐々木 裕子、松林 大輔、以下 人的資本経営推進協会)は、記念すべき第1回目のサミットを開催いたしました。
「人的資本経営サミット2023〜未来を切り拓くリーダーたちと最前線に迫る〜」
サミットで実施されたセッションでは、企業の取り組み事例を中心に、人的資本を推進するアイデアがたくさん紹介されました。また企業、投資家との対話を通じて、多様な視点で人的資本経営を考える機会となりました。
サミット当日は、上場企業のCHROを中心に198名の参加者にご参加いただき、オンラインでも820名の参加登録、643名にご視聴いただき大盛況となりました。
そしてサミット初開催となる今回は、経済産業大臣 西村 康稔 氏、一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄 氏、Unipos株式会社 代表取締役社長CEO 田中 弦 氏、日本経済新聞社 編集委員 石塚 由紀夫 氏など、垣根を越えた幅広い立場の方々22名にご登壇いただき全9テーマのセッションを行いました。
さらに、登壇者と参加者の対話を通じた、人的資本経営を推進するためのアイデアやヒントを生み出す場としてネットワーキングも行いました。
どのセッションも、人的資本経営を推進するための素晴らしい知見とアイディアに溢れ、参加者からは「次回も開催して欲しい」というお声を沢山いただきました。
【参加者のお声(来場者 / オンライン視聴者)】
【当日の様子】
冒頭は、弊団体の代表理事である野澤 比日樹より開会の挨拶をさせていただきました。
野澤の挨拶後、「参加者同士の自己紹介をし、サミットで得たいことについて」を共有し合う機会を設けました。5分という短い時間でしたが、緊張がほぐれ、会場の雰囲気が明るくなり、大変盛り上がりました。
13:10-13:55「人的資本経営の現在地」のセッションでは、人的資本の第一人者である一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤 邦雄 氏とUnipos株式会社 代表取締役社長CEO 田中 弦 氏が登壇、弊団体 代表理事 野澤 比日樹がモデレータを務めディスカッションを行いました。
多くの企業が手探り状態で取り組む中、現段階での先行企業の取り組みや課題について人材版伊藤レポートを書かれた伊藤氏とユニポス田中氏に詳しく解説していただきました。伊藤先生からは、先進的な事例として荏原製作所様、メルカリ様、SHIFT様、三井住友フィナンシャルグループ様、ソニー様を、田中様からは「課題提示」をされている4社として、住友ゴムグループ様、三菱電機様、明治ホールディングス様、商船三井様の事例をご紹介いただきました。
そして最後には、人材版伊藤レポート3.0を発表するとしたら「自律的キャリア形成」と「対話」の2つを重要施策として加えたいという力強いセッションとなりました。
14:05-14:50「人的資本経営の未来〜これからの企業経営の進化の本質とは〜」のセッションでは、三井化学株式会社 取締役 専務執行役員 CHRO 安藤 嘉規 氏、株式会社リクルートホールディングス 執行役員 経営企画本部 PR/株式会社リクルート 執行役員 人事、広報・渉外、サステナビリティ 柏村 美生 氏、日本経済新聞社 編集委員 石塚 由紀夫 氏がディスカッションを行いました。
石塚編集委員の切れ味鋭い質問によって、リクルート柏村氏からは「徹底的にデータを見にいく」人的資本経営は、従来より人を重視してきたリクルートの経営にとっても新たな挑戦であること、三井化学安藤氏からは、劇的な環境変化に向き合う企業経営者としての危機感が人的資本経営の第一の文脈として語られ、人的資本経営を本気で取り組むことのROIの高さへの確信や、その波が広がるビジョンについても力強く共有頂いた、熱量の高いセッションとなりました。
15:00-15:45「投資サイドから見た人的資本開示元年の評価」のセッションでは、アライアンス・バーンスタイン株式会社 責任投資ヘッド 臼井 はるな 氏、三井住友DSアセットマネジメント株式会社 副社長執行役員・運用部門長 荻原 亘 氏、弊団体 理事 藤田 亜矢子がディスカッションを行いました。
投資家が重視するポイントやその考え方をより明らかにすることで、企業の情報開示がより有効なものとなり、投資家の相互理解が一層深まることを目指したセッションですが、新しい開示要件に対する企業側の取り組みを投資家はどう評価しているか。そして企業の取り組みがどのように投資判断に影響を与えるかを深掘りしました。
投資家からは、人事戦略が経営戦略と整合的に組み立てられ、これが企業価値向上に繋がるかに注目している、このためには本来のゴールに対して有効的にアプローチすることを期待している、との指摘がありました。また、開示データを時系列で分析して運用に活かす計画も共有され、このために過去も含めて時系列でデータを継続的に開示してもらいたいとの要望も出されました。
企業にとっては限られた社内リソースの下での開示負担が増している状況ではあるものの、投資家が重視するのは開示の量ではなく、その経営戦略との整合性、独自性であることが明らかになったセッションでした。
16:05-16:50「注目企業の人的資本開示と取組み〜日本の先進事例 / Large case〜」のセッションでは、株式会社三井住友銀行 取締役兼専務執行役員 小林 喬 氏、元オムロン(株)(現ワコールホールディングス 社外取締役) 元取締役執行役員専務 CFO兼グローバル戦略本部長 日戸 興史 氏、リンクタイズ株式会社 Forbes JAPAN Web編集長 谷本 有香 氏がディスカッションを行いました。実践的な知見と、CHROとCFOのそれぞれの観点から、大企業における「人的資本経営」の実装と開示における核心的なポイントを深く探討しました。本セッションでは、日本を代表する大手企業の人的資本経営への取り組みとその要諦について議論が行われました。
三井住友銀行の小林氏からは、グローバル化やテクノロジーの進化に伴い、事業の拡大が求められる中、従業員の挑戦意欲を刺激し、殻を破るための人事制度改革について紹介がされました。人材の多様化に伴う組織内の遠心力をいかに制御し、求心力を高めるために、従業員と企業とが双方向にコミットメントするSMBCグループ人財ポリシーを制定し、それを軸に人事プラットフォームのアップデートに取り組んでいることが紹介されました。
元オムロンの日戸氏からは、オムロンのROICマネジメントを起点とした持続的な企業価値向上に関する考え方と取り組みについて紹介されました。特に、全体最適を目指し、企業理念を具体的なアクションに落とし込むことの重要性を強調しました。企業理念を徹底的に組織浸透させることは厳しさが伴うものですが、それによって従業員と企業との強い関係性の構築につながると言及されました。
人的資本経営に取り組む上での出発点としては、現状とあるべき姿とのギャップを明確にすること、高い目標設定の重要性、そして客観的な視点の保持が挙げられました。加えて、意欲ある従業員にチャンスを提供し、スキル開発を促進することの大切さを強調し、そういった意欲ある人材を見つけ出し見極めることは人事の重要な役割であると結んでいます。
同じく16:05-16:50では別会場にて「注目企業の人的資本開示と取組み〜日本の先進事例 /Growth case〜」のセッションが行われました。本セッションは、株式会社メルカリ 執行役員CHRO 木下 達夫 氏、株式会社SHIFT 上席執行役員 兼 人事本部 本部長 菅原 要介 氏、JPモルガン証券株式会社 マネージング・ディレクター 森 はるか 氏がディスカッションを行いました。
本セッションでは、成長企業における人的資本開示と取り組みに焦点を当て、先進的な取り組みを行なっているメルカリ社、SHIFT社の実例を通じて、経営戦略と人事戦略をどのように統合させることで、人的資本経営を実践し、成長に繋げているのかを議論しました。
17:00-17:45「グローバル水準な人的資本経営とは?」のセッションでは、アストラゼネカ株式会社 代表取締役社長 堀井 貴史 氏、Netflix Japan Head of Talent,Japan 山本 真一郎 氏、弊団体 代表理事 佐々木 裕子がディスカッションを行いました。
アストラゼネカ堀井氏からは、目指すものは「イノベーション」であり、経営会議で人や多様性に纏わるディスカッションに2割の時間を割いていることが語られたほか、ネットフリックスの山本氏からは、「ドリームチーム」を目指す同社の経営が行う、有名な「Keeperルール」等の革新的な取組について、その本質と文脈を具体的に共有頂きました。最後に、人的資本経営の本質は、不断の経営の取組によって比類なき組織カルチャーを構築し続けることではないか、との結論となりました。
同じく17:00-17:45では別会場にて「企業の取組みやデータから見る人的資本経営」のセッションが行われました。本セッションは、エール株式会社 取締役 篠田 真貴子 氏、株式会社カオナビ 代表取締役社長 Co-CEO 佐藤 寛之 氏、デロイトトーマツコンサルティング合同会社 パートナー/執行役員 田中 公康 氏がディスカッションを行いました。
本セッションでは、時代の変化とともに求められる現代企業のマネジメントのあり方について議論がされました。オペレーションエクセレンスから創発的なアイデアを生む組織へと変化するためには、従業員一人ひとりの特性を理解し、活かしていくことがとても重要。そして、その実現のためには、企業は、従来の管理スタイルから脱却し、従業員の多様性を受け入れ、個々の能力を最大限に活用する新しい経営スタイルを採用する必要なのではないか。そんな問題提起は多くの参加者の心に響いたのではないでしょうか。
テクノロジーを活用して、従業員の個々の特性を効率的に理解する方法も紹介され、従業員のエンゲージメントを高め、企業全体の生産性を向上させることについて、登壇者の皆様の知見が学びになるセッションでした。
クロージングでは、弊団体 代表理事である佐々木 裕子が閉会の挨拶をさせていただき、本イベントは終了しました。
ネットワーキングでの様子はこちらの写真の通りです。登壇者と参加者が人的資本に関するテーマをもとに意見を交わせる有益な時間を設けることで、未来の人的資本経営のアイディアを模索する時間となりました。
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▼後援・協賛一覧
【後援】
金融庁
経済産業省
一般社団法人日本経済団体連合会
一般社団法人日本能率協会
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会
HR NOTE(jinjer株式会社)
【協賛】
Platinum
株式会社カオナビ
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Unipos株式会社
Silver
OFFICE DE YASAI
株式会社グロービス
コミューン株式会社
株式会社PR Table
HRエグゼクティブコンソーシアム(ProFuture株式会社)
森ビル株式会社
Bronze
株式会社HRBrain
株式会社エグゼクティブ・ボード
株式会社コテラス
株式会社サイダス
株式会社JOINT CREW
パブリックゲート合同会社
株式会社Be&Do
株式会社RECOMO
▼登壇者一覧(50音順)
◾️安藤 嘉規氏
三井化学株式会社 取締役 専務執行役員 CHRO
◾️石塚 由紀夫氏
日本経済新聞社 編集委員
◾️伊藤 邦雄氏
一橋大学CFO教育研究センター長 / 経営管理研究科経営管理専攻名誉教授 / 経済産業省プロジェクト「人的資 本経営の実現に向けた検討会」座長
◾️臼井 はるな氏
アライアンス・バーンスタイン株式会社 責任投資ヘッド
◾️荻原 亘氏
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 副社長執行役員・運用部門長
◾️柏村 美生氏
株式会社リクルートホールディングス 執行役員 経営企画本部 PR / 株式会社リクルート 執行役員 人事、広報・渉外、サステナビリティ
◾️木下 達夫氏
株式会社メルカリ 執行役員CHRO
◾️小林 喬氏
株式会社三井住友銀行 取締役兼専務執行役員
◾️佐々木 裕子
株式会社リクシス 代表取締役社長 / 株式会社チェンジウェーブ 代表取締役社長
◾️佐藤 寛之氏
株式会社カオナビ 代表取締役社長 Co-CEO
◾️篠田 真貴子氏
エール株式会社 取締役
◾️菅原 要介氏
株式会社SHIFT 上席執行役員 兼 人事本部 本部長
◾️田中 公康氏
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パートナー/執行役員 / ヒューマンキャピタルデジタル(HC w / Digital)推進責任者
◾️田中 弦氏
Unipos株式会社 代表取締役社長CEO
◾️谷本 有香氏
リンクタイズ株式会社 Forbes JAPAN Web編集長
◾️西村 康稔氏
経済産業大臣 / 原子力経済被害担当 / GX実行推進担当 / 産業競争力担当 / ロシア経済分野協力担当 / 内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)
◾️野澤 比日樹
一般社団法人人的資本経営推進協会 代表理事 / 株式会社ZENKIGEN 代表取締役CEO
◾️日戸 興史氏
元オムロン(株)元取締役執行役員専務 CFO兼グローバル戦略本部長 / (現ワコールホールディングス社外取締役)
◾️藤田 亜矢子
JPモルガン証券株式会社 チーフエコノミスト
◾️堀井 貴史氏
アストラゼネカ株式会社 代表取締役社長
◾️森 はるか氏
JPモルガン証券株式会社 マネージング・ディレクター
◾️山本 真一郎氏
Netflix Japan Head of Talent,Japan
【一般社団法人人的資本経営推進協会とは】
一般社団法人人的資本経営推進協会は、従業員が持つ知識や能力を「資本」とみなして、持続的な企業価値の向上につなげる新しい経営の在り方=「人的資本経営」を研究・発信するため設立いたしました。
URL:https://hc-m.org/
【一般社団法人人的資本経営推進協会 概要】
社名 一般社団法人人的資本経営推進協会
所在地 〒106-0032 東京都港区六本木7丁目4-4 六本木アートシェル4F
設立 2022年10月17日