【ARCH MEMBER INTERVIEW】人事施策を「点」から「ストーリー」へ

ARCHでの学びから始まった、人材戦略と人材ポートフォリオづくり

ARCHに参加して約1年半。三浦さんは、定例会で得た「人材戦略」「人材ポートフォリオ」の学びを、自社の2030年の事業目標から逆算した人材戦略づくりへとつなげてきました。今では事業単位の人員構成やAI活用を前提とした人員計画、KGI・KPIの設計へと実践を広げています。

今回は、学びが実務へ変わっていったプロセスと、継続して参加するからこそ感じるARCHというコミュニティの価値を伺いました。

三浦 健吾氏|株式会社うるる People & Culture 本部 人事部 部長

ARCHの研究会をきっかけに参加。定例会にも継続して参加し、そこで得た学びを自社の人材戦略や人事施策へ実装している。

「人材戦略」「人材ポートフォリオ」が、まさに響いた

――ARCH で特に影響を受けたテーマはありますか?

人材戦略と、人材ポートフォリオですね。初期の頃にやったテーマだったと思うんですけど、本当にあれは、まさに響きました。

当時、社内には人事として目指す方針のような抽象度の高い言葉はありましたが、5年後の経営目標を見据えて「人事として何をどう戦略に落とし込むか」という全体像を、より具体的に体系化していくことがテーマでした。ARCHの講義を聞いて、「これはやった方がいいな」と思いました。本当に、それがきっかけなんですよ。

「来年何人採用するか」ではなく、会社がどこへ向かうのかから考える。

――それまでは、人事施策をどのように考えていたのでしょうか?

人事の仕事が結構単発的だったんですよね。「来年こういう増員をするから、ここの採用お願いね」というような感じで、やることのストーリーや「どこに向かっているのか」がなかった。今やっていることが長期的に会社へどう影響するのか、各施策がどう連動するのかというところも、形になっていませんでした。

2030年の事業目標から、必要な人材を逆算する

――ARCH で学んだ後、何から始めたのでしょうか?

まずは As Is / To Be の分析からです。ちょうど経営層でも「2030年に事業としてどうなっていくか」という目標を作っていました。では、その目標を実現するためには「どういう人材が、どれくらい必要なのか」。そこを最初の足掛かりにしました。本当に ARCH でやったこと、そのままという感じです。

——人材ポートフォリオは、具体的にどう整理しましたか?

「経営人材」「マネージャー」「スペシャリスト」「オペレーション」の4象限です。まず現状の人員を4象限で見て、5年後に会社の成長を支えるために、それぞれどのくらいの割合が必要かを考えました。そこから、どんな人材を何人採用するのか、育成でどこまで広げるのかまで落としていきました。

人材ポートフォリオの考え方を、実際の事業・人員計画へとつなげていったと語る三浦さん

人事企画から経営会議へ。「点」だった施策に連動性をつくる

――社内では、どのように進めていったのでしょうか?

まず人事企画課と一緒に作り、経営層の何名かに話した後、経営会議に持っていきました。人事のメンバーも、施策が「点」になっていること自体は課題に感じていたと思います。みんな HOW から入りがちだったものを、数年単位で会社にどう影響していくのかというストーリーや、施策同士の連動性で考える。その詰め方はすごくいいね、という反応でした。

最初はドキュメントベースで始めた人材ポートフォリオも、今では各事業をより細かく見ながら、事業責任者と「5 年後の人材ポートフォリオをどうするか」「1 年ごとに人員構成をどう変えていくか」を話すところまで進んでいます。

AIを前提に、人員計画そのものを再設計する

今期、特に大きな変化として挙げたのが AI です。これまでは売上の伸びに合わせて一定割合で人員を増やす考え方だったものを、AIによる業務代替を前提に「5年後はどれくらいの人員で事業を運営するのか」という人員計画そのものの再設計に取り組んだといいます。

「正解が全然分からないテーマだからこそ、社内だけで閉じているのはもったいない。」

AI のように日々状況が変わり、まだ正解のないテーマでは、他社の実践を知り、対話すること自体が大きなヒントになる。三浦さんは、ARCH での他社との対話を自社の取り組みに反映しています。

「ストーリー」だけでなく、指標でも人事施策を捉える

――人材ポートフォリオ以外にも、実務に取り入れたことはありますか?

今期の ARCH で扱った指標の話もすごく分かりやすかったです。ストーリーだけではなく、それを補完するための人事データとして、最終的な KGI と、そこに紐づく KPI を考えました。今は 16 の指標を置いています。もちろん、それらが本当に最終的な KGI と相関するのかは、これから検証していかないといけません。でも、ARCH で「皆さん、指標はどうしていますか?」と話せたことも、自社の考え方を整理するうえで参考になりました。

今回の定例会で扱ったエンゲージメントについても、「全部の数字を上げる」のではなく、自社の今のフェーズでどこに着目するべきなのかを考え直したいと話します。サーベイを取ること自体を目的にせず、経営や人事の課題と結びつけて見る。ここにも、学びを実践へ変える三浦さんの姿勢が表れています。

定例会での学びを、自社の課題に引き寄せながら考える

次に深めたいのは「人事×AX」と「人事データ」

三浦さんが今後 ARCH で議論してみたいテーマとして挙げたのは、「人事×AX」と「人事データ」です。自社でも人事部内の AX を進める役割を置き、データの整備や精度向上にも取り組んでいく予定だといいます。

——なぜ、その2つに関心があるのでしょうか?

AX と人事を各社がどうやっているのかは聞いてみたいですね。もう一つは人事データです。指標を活用しようとしても、ベースとなるデータがちゃんと整っていないと感じています。各社がどのデータに着目して、どう整備し、どう活用しているのか。会社によって持っているデータも違うので、そこは面白いテーマだと思います。

ARCH は、「聞いて終わり」ではない

――ARCH をまだ知らない方に紹介するとしたら、どんな場だと伝えますか?

人事の最前線を学ぶことができるところですね。ただ、その「学び」だけではなくて、対話を通して深めていくところだと思います。上っ面ではなくて、「青臭く、泥臭く」というのを本当に実践している。本質的な話ができる場ですよね。聞くだけではなくて、ちゃんとそれが自分のものになるというか。いいコミュニティだなと思っています。

ARCH では、1 年間を通してほぼ同じメンバーが参加します。毎回グループは変わっても、顔を合わせるたびに関係性が深まり、次第に表面的な情報交換ではなく、実際の悩みや試行錯誤まで話せるようになる。三浦さんは、その継続性も ARCH の大きな魅力だと感じています。

定例会の外にも、関係と実践が広がっていく

最近では、ARCH で出会った参加者との会話から「リフレクションカード」を知り、実際に自社へ来てもらって一緒に体験。次は人事部のメンバーとも実施する予定になったそうです。ほかの参加者からも、ARCH でつながった人同士で別の勉強会や企画が生まれたという話を耳にするといいます。

「勉強会が終わったあとにも、新しい機会が生まれる。これはARCHに参加する一つの良さだと思っています。」

学び → 対話 → 実践。その循環が、次の問いを生む。

三浦さんの話から見えてきたのは、ARCHで得た知識をその場で終わらせず、自社の経営目標や課題に引き寄せ、実際の人材戦略や人員計画、指標設計へとつなげていく姿でした。

そして実践してみるからこそ、「AI を前提に人員計画をどう考えるか」「どの人事指標を見るべきか」「人事データをどう整えるか」と、次の問いが生まれていきます。その問いを再び他社の人事と持ち寄り、対話し、また自社で試す。ARCH の価値は、知識を得ることだけではなく、この循環を継続できることにあるのかもしれません。

編集後記

今回のインタビューでは、ARCH で得た気づきが、それぞれの現場に持ち帰られ、新たな実践へとつながっていく姿を伺うことができました。

ARCH で交わされる学びや対話が、その場だけで終わらず、参加者それぞれの組織でどのように広がっていくのか。 これからも、そんな「学びのその先」をお届けしていきます。

Interview|萩原 健太
Photo|平田 圭
Editorial Support|ARCH 運営チーム
Presented by|一般社団法人人的資本経営推進協会

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